今夜も彼女はいつもの場所で唄っている。

彼女は圧倒的な実力があるストリートミュージシャンだ。
少なからずファンもいて、メジャーデビューの誘いもあるが断り続けている。
彼女が何故プロデビューを頑くなに拒むのか…。

彼女が唄うのはある一人の為に歌をメッセージを届ける為だけに唄い続けているからだ。
だからストリートに集う人達には申し訳ない気持ちで一杯だった。
その人との再会を果たした時唄う事を止めるつもりだった。

彼女はそんな矛盾のなか唄い続けて遂に願いが叶う事になった。

そして彼女はストリートから姿を消した。





どれだけの時間が過ぎただろうか。
すっかり彼女の事は忘れ去られていた頃、彼女は再びストリートに立っていた。
(歌が好き)
彼女にとっては大事なもののひとつだった事に気がついたのだ。

彼女は今夜もいつもの場所で歌を奏でている。




<了>
今木 洛

ONE LIFE